スキーの防寒対策はインナーが命。インナーの役割や選ぶポイントも

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雪山でのスキーは、当然ながら寒い場所で行うスポーツです。スキーウェアだけでは、防寒対策が心もとない、と感じることはないでしょうか。スキーウェアの中に着用するインナーを上手に使えば、寒さから体を守り快適にスキーができます。

インナーの役割は防寒だけじゃなかった


スキーをするときは、スキーウェアの下にインナーウェアを着用することが多いでしょう。
インナーは、スキーウェアだけでは寒さが心配、というときに着用するものだと思ってはいませんか?スキー用のインナーには、防寒だけではない他の役割もあります。

体温の調整をしてくれる

スキーは寒い雪山で行うものなので、当然、体が冷えやすくなります。強風の日やナイターでスキーをしているときなどは特に体温が下がりやすく、低体温になりやすい状態です。
寒い場所で行うスキーでも、動いているうちにだんだんと汗をかいてくることがあるでしょう。寒さ対策としてただウェアの中に闇雲に防寒着を着込んでいると、逆に暑さを感じてしまいます。暑さでかいた汗を吸収した服が冷えて、体温を奪うこともあります。
このようなケースを予防できるのが、吸湿速乾性効果を持つインナーです。汗を吸収して水分を発散させるので、着ておくと体温を調整でき、かつ汗を素早く蒸発させるので、低体温を防ぐことができます。

コンプレッションウエアで疲れ知らず

スポーツウェアとして、運動機能の向上や身体への負担軽減などの機能を持つ『コンプレッションウエア』があります。これは、身体に適度な圧力をかけて、動きをサポートしてくれるものです。
着圧機能によるパフォーマンス向上や疲労軽減を目的として、コンプレッションウエアをインナーとして着用する人もいます。
コンプレッションウエアは血液循環のサポートもしてくれるため、特に脚への披露が溜まりづらくなるといわれています。血流も良くなることから、コンプレッションウエア着用は冷えの予防にもつながり、防寒対策としても使えます。

インナープロテクターで大ケガの防止

スノボでは着用する人が多いインナープロテクターは、スキーでも着用者が多いものです。肘や膝、肩周りやお尻などの転倒時に打ちやすい部分にパッドが入っているので、転倒しても大きなケガにつながりにくくなり、大ケガを防止できます。

インナーアイテムを選ぶポイント


スキーウェアのインナーには、雪山独特の事情を踏まえて選ぶ必要があります。そこで、インナーアイテムを選ぶときは、以下のポイントを押さえておきましょう。

防寒、吸湿速乾性

スキーのインナーでまずチェックしたいポイントは、防寒性です。雪山では、晴れていても時間の経過と共に天気が変わることも多く、思っていた以上に冷えることは珍しくありません。
ただし、スキーでかいた汗が長く生地に残るような厚手の生地や厚手のインナーの重ね着、吸湿速乾性のないインナーは、冷えた汗によって低体温を招く原因になることがあります。
そのため、保温・防寒性に加えて、かいた汗をスピーディーに吸収・発散できる吸湿速乾性のあるインナーが最適です。

保温、伸縮性

寒さを防ぎながら、暖かさを保てる保温性のあるインナーもおすすめです。多くのインナーは、汗を吸収して発熱・持続させるタイプとなっています。
そして最後に、インナーの伸縮性もチェックしましょう。伸縮性に乏しいインナーは、動きを妨げてパフォーマンスの低下させることがあるからです。スキー用のインナーは、柔らかく伸縮性がある生地のものが最適です。

綿素材のアイテムは避けよう

普段の洋服では綿素材のアイテムが多く、暖かい生地も多いものです。しかし、綿はスキーウェアとして使用するには避けた方がいい素材です。
その理由は、乾きにくいからです。綿は保温性があるものの速乾性がありません。先述のように、スキーではかいた汗を放置していると、その汗を吸収した生地が冷えてしまいます。
このことから、スキーをするときのインナーには、綿素材を避けましょう。代わりの素材としておすすめは、ウールまたはポリエステルです。どちらも綿よりも吸湿性が高く、保温性も兼ね備えています。

おすすめインナー アンダーウエア編


スキーのインナーは、2種類あります。1つは一番下に着る「ファーストレイヤー」または「ベースレイヤー」、そしてもう1つが、その上に着る「セカンドレイヤー」です。
ファーストレイヤーとセカンドレイヤー、それぞれのおすすめタイプをまとめました。

ファーストレイヤーには2タイプ

ファーストレイヤーは最も肌に近い、一番下に着るものです。ファーストレイヤーには保温性を重視したもの、もしくは通気性を重視したものの2タイプがあります。
寒い場所に長時間いるスキーでは大抵の場合、保温性を重視したいと考えるかもしれません。ところが、特にスキー初心者の場合は思っていたより汗をかくことがあります。
保温性重視のインナーは汗で発熱するため、必要以上に暑さを感じてしまうことも考えられます。
もちろん、保温性は大事ですが、ファーストインナーとしてはかいた汗をしっかり吸収して発散させる、吸湿速乾性のあるインナーの方が適しています。

冬スキーにはユニクロヒートテックタイプ

ユニクロの「ヒートテック」は身体から発散される水蒸気で発熱し、保温する機能性インナーです。冬の間の防寒対策として、着用している人も多い、定番アイテムの1つといっても過言ではないでしょう。
しかし、ヒートテックは汗をかくスキーのインナーとしては、保温性が高すぎるので、初心者や春スキー時の着用にはあまり適しているとはいえません。また、吸湿速乾性が綿よりも低いという実験結果も出ています。
ただし、ヒートテックは気温が低い冬スキーで着用するのなら、低体温を防いでくれる効果が高いといえます。

春スキーには吸湿速乾性タイプ

春スキーでは、冬とは異なり、日中に気温が上がるという特徴があります。このような環境で、高い保温性のあるインナーを着用すると暑すぎる、という事態を招くことがあります。
春スキーでは、保温性よりも体温調整機能を重視し、吸湿速乾性のあるインナーを選ぶのをおすすめします。

セカンドレイヤーにはフリースがおすすめ

ファーストレイヤーの上に着るセカンドレイヤーとしておすすめのインナーは、フリースです。フリースは高い保温性と通気性に加えて、伸縮性にも優れた素材です。暖かく快適性を保ちながら、伸縮性によって動きやすさも兼ねた素材です。
フリースもさまざまな製品が販売されていますが、セカンドレイヤーとして特におすすめはフロントジッパータイプのフリースです。スキーの途中で汗をかいて着替えたいときでも、脱ぎ着がしやすいので便利でしょう。

ボトムスには着圧タイプを選ぼう

下半身に用のインナーにおすすめは、コンプレッション機能がある着圧タイプです。
スキーは脚の疲れを感じることが多く、疲労が溜まりやすいものです。コンプレッション機能搭載のボトムスなら、疲労回復に効果的な着圧効果が期待できます。

おすすめ防寒アイテム 小物編


スキーのときに着用するインナーは上半身・下半身の他、小物もあります。ゲレンデでの防寒に役立つおすすめの小物は、やはり手指を寒さから守るグローブです。

指先の寒さはインナーグローブでカバー

インナーグローブは、通常のグローブの下に着用する、比較的薄手の手袋です。中にはインナーと一体化したグローブもありますが、インナーとアウターがセパレート式のタイプのグローブも販売されています。
グローブの下にインナーグローブを身につけると、上半身・下半身のインナー同様に汗を吸収して保温性を高め、快適に暖かさを保ちます。
指先は特に冷えてしまいがちなので、冷えが心配な人はインナーグローブを使ってみると、保温性の違いを感じられるでしょう。

そのままスマホの操作ができるものも

スマホのタッチパネルは、基本的に素肌でなければ反応しません。手袋を装着しているときはスマホの操作ができなくなり、不便を感じることがあるでしょう。
一般的な手袋でスマホのタッチパネル対応をしているものがあるのと同様に、インナーグローブにも、一部製品にはタッチパネル操作に対応したタイプがあります。
スマホ操作が可能なインナーグローブは、スキーの合間に電話をかけたい、急な着信があった、調べたいことがあるときなど、寒いゲレンデで手袋をはずす必要なく操作ができる、利便性が高い製品です。

暖かい靴下で足元の対策も忘れずに


寒い雪山では、足元の冷え対策も重要です。スキーブーツだけでは防寒には不十分で、冷たさに耐えられない、というケースも出てくることもあるはずです。
普通の靴下ではなく、暖かさをキープできる靴下をスキーブーツの中に履いておくと、しっかり防寒対策ができます。
近年では、防寒プラスアルファの機能として、着圧ソックスも登場しています。足元の暖かさを保ちながら、程よい着圧で足が疲れにくい効果も得られる一石二鳥のアイテムです。

インナーブーツを暖めるのもGOOD

足元を暖かくするには、ゲレンデで履くスキーブーツを暖めればいいのでは、と考える人がいるかもしれません。しかし、スキーブーツは普通の靴とは違います。
スキーブーツの外側は、シェルと呼ばれる硬い部分ですが、この部分を暖めると強度と性能が落ちてしまう可能性があります。そのため、暖めるのであれば火や暖房器具に直接当てて暖めるのではなく、暖かい部屋の中でゆっくりと暖めましょう。
スキーブーツの中には、インナーが入っています。この部分を取り出して、インナーを暖めてから履くのも、足元の防寒対策の1つの方法です。

まとめ

寒い雪山で行うスキーでの防寒対策は、街なかでの防寒対策とは違うポイントがあります。ただ体を暖めるのではなく、吸湿速乾性や疲労軽減効果なども考えて、インナーを選びましょう。

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