【ゲレンデの輪vol.15】コーチとして、スノーボードに関わりたい。二星謙一のコーチングライフとは?

秋も深まり冬がいよいよ近づいてきました!ゲレンデの輪第15弾は、現役選手からコーチの道を選んだ、パラスノーボード日本代表コーチの二星謙一さんにお話を伺いました!「コーチから見た選手とは?」など、いつもの選手とは別の視点の話題がとても興味を引き立たせてくれました!

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  • 名前:二星謙一(にぼしけんいち)
  • 出身地:兵庫県神戸市
  • 職業:コーチ、団体職員(生涯スポーツ団体職員)

国内指定選手からコーチの道へ

━━━二星さんの今までの経歴を簡単に教えてください。

二星:1998年の長野オリンピックでアルペン種目(レース)の強化指定選手になりましたが、残念ながらオリンピック出場は叶いませんでした。その後はPSA(プロ)選手にて活動し、同時にフリーのコーチとして活動していました。

━━━元々アルペンの選手だったんですね!

二星:そうですね。レースを中心に活動していました。当時FIS(国際スキー連盟)でエキシビジョンでスノーボードクロスのワールドカップ大会がスタートして、アルペンとスノーボードクロスの両方出るようになりました。スノーボードクロスはトリノオリンピックから正式種目になりましたが、その時点で当時の強化本部長からお誘いがあり、全日本のスノーボードクロスのコーチとして就任しました。

━━━いきなりコーチになったんですね!どういう気持ちでしたか?

二星:当時は選手の実力を引き出す仕事がしたいという一念で引き受けましたが、実際のチームを運用していくにあたり、一足飛びでコーチになったため、全てが経験不足で、重責のプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。

 

一言、ただ未熟

トリノオリンピックを経験して

━━━初めてコーチとしてのオリンピックを経験して、いかがでしたか?

二星:一言で言うならば、「未熟」でした。手探りで選手指導に当たる中、自身の考えを選手に押し付けたり、感情的になってしまったりと、悪い見本を全てやってしまったように思います。当然うまくはいきませんでしたね。

━━━夢の舞台、オリンピックですもんね。

二星:そうですね、力が入りすぎていました。また、コーチは広い視野で物事を見なければなりませんが、それができないまま終わってしまい、猛省しました。ただ、そのような中で、才能のある選手に恵まれ、初出場で女子はベスト8、男子は16位以内の成績を残すことができたのは幸運でした。

━━━オリンピックを終えてからはどうされていたのですか?

二星:そうですね。一旦コーチ業からは離れていました。自身が行っていたことはコーチ業ではなく、単なるインストラクションではないか。その現実を突きつけられ、精神的にも疲れていました。

 

再びコーチとして

一人の女性の思いから

━━━現在はパラリンピックコーチとして活動されていますが、そのきっかけはなんだったのでしょうか?

二星:現在、生涯スポーツイベントを企画する団体の職員として勤務していますが、トリノオリンピック後しばらくして、一般の方にスノーボードを教える機会がありました。その時教えていた女性がある日交通事故で足を切断してしまいました。それでも彼女はスノーボードができるかどうか、私に聞いてきたんです。彼女はやる気でした。

━━━その女性、本当にすごいです。二星さんがきっかけを与えたんですね。

二星:私はその時、スノーボードコーチとしてよりも、彼女のよう熱な意を持った方の支えになればと思い立ちました。考えるきっかけを与えられたのは自分自身なのかもしれません。

━━━再び熱が入りましたね!

二星:はい。それを機に障がいを負った方がスノーボードを楽しめるように、「一般社団法人障害者スノーボード協会」を立ち上げました。その2年後、ソチパラリンピックでスノーボード競技がエキジビジョン種目になりました。そして、日本国内の窓口である特定非営利活動法人日本障害者スキー連盟に協力することとなり、次回の平昌パラリンピックへ向けて日本代表コーチとして歩む決意を固めました。

ジャパンコーチとして

━━━選手とのコミュニケーションの取り方で気をつけていることはありますか?

二星:当たり前のことですが、まず選手の意見をよく聞いて、選手が目指す目標をより明確に具体化するように心掛けています。そして、意識を目標へより集中できるようにすることが重要と考えています。時には選手の方から遠慮なく意見をぶつけてきますが、それでよいと思っています。ただし、選手の意見を優先しつつ、一歩引いて見ることを心がけています。

━━━頼れるコーチで、選手からの信頼もさぞ熱いでしょうね。

 

2022年北京パラリンピックに向けて

オリンピックとの違い

━━━パラリンピックスノーボード競技はどんな種目がありますか?

二星:ローラーやバンクやなど、キッカーなど様々な障害物をクリアしながら滑るスノーボードクロスと、旗門をクリアしながらタイムを競うバンクドスラロームの2種類あります。

━━━パラコーチとオリンピックコーチでは何か違う点はありますか?

二星:障害者と健常者という意味で考えるならば、大会の流れは同じです。ただ、パラスポーツの最大の違いは障害の度合いでクラスを分けるということです。これをクラシフィケーションと呼びます。パラスノーボードは3つのクラスがあり、上肢(腕部)ULクラス、下肢(脚部)LLクラスの障害カテゴリーがあります。下肢はその中でも重度(LL-1)と軽度(LL-2)に分かれています。

━━━普段の合宿生活も違いますか?

二星:部屋は普通の方と同じですが、出来るだけ階段を使わない部屋にしてもらったり、駐車場や宿泊施設からスキー場への移動距離を減らしたりと周囲に配慮していただいています。また、不便なことは皆で協力して対応するようにしています。

━━━今のパラチームは団結しているということでしょうか?

二星:そうですね。今のパラスノーボードチームは30代から40代が主力の大人のチームですので、集団での行動も慣れている人ばかりです。また、平昌パラリンピックから代表の経験豊富な選手もいて、選手同士気心が知れていて仲良くやっています。

北京への道

━━━北京パラリンピックへの目標は?

二星:前回の平昌パラリンピックでは成田緑夢選手がバンクドスラロームで金メダル、スノーボードクロスで銅メダルを獲得できましたが、今回もメダルを期待したいです。今回選手全員がメダル圏内ですので楽しみにしています。

━━━そうですか!楽しみですね。コロナ禍でのチームでの練習はどのようにされてますか?

二星:海外での雪上練習が全くできない中、富山県にあるスキー・スノーボードをオフシーズンにトレーニングできる施設で定期的に合宿をしています。夏も選手と定期的に会えるので、団結力もさらに深まっています。

━━━早く海外行きたいですね。そろそろですかね。二星さん自身はシーズン中に滑ることはあるのですか?

二星:代表合宿では機会があれば選手と一緒に滑っています。また、選手・コーチなど皆滑ることが好きですので、1日中滑ることが多いです。元気ですよ。

━━━元気が何よりです。今シーズンも怪我なく頑張ってください!

今シーズンのパラチームに期待!

前回のゲレンデの輪でも取り上げた、小栗大地さんもパラリンピック日本代表の一人。二星さんはすごく頼りになる方だと話してくれ、今回の紹介に預りました。障害を乗り越え、理解し、夢に向かって一緒に取り組む二星さんのお話を聞いて、少しでも共感してくれる方がいれば幸いです。今シーズンは雪がたくさん降ると予想されるのでいいシーズンになりそうですね。二星さん、ありがとうございました!

この記事をかいた人

現役アラサープロスノーボーダー。好きな言葉は「速さこそ正義」