「ワックスを制するものが雪山を制す!」。進化したスプレータイプに熱視線

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「気合い入れてワックスかけてきた」「今日の雪はワックスが合うからよく滑る」。ゲレンデやリフト待ちでよく耳にするスキーヤーやスノーボーダーのワックス談義。ただ、初心者からすると、ワックスで滑りが変わるものなのかは正直、分かりづらいものです。そもそもワックスがなぜ必要で、多くの種類がある中でどれを選べばいいのでしょうか。そこで、ワックスについて詳しい人物に会いに行き、板を買ったばかりの初心者の疑問を聞いてきました。

スプレータイプが普及しているワックス事情


ワックスについて詳しい店員がいると聞き、取材に訪れたのが大型スポーツ・アウトドア専門店「スーパースポーツゼビオ ビバモールさいたま新都心店」。秋田出身のスノーボーダーで、雪に恵まれた東北で腕を磨いてきた小椋真太郎さんが、同店のウインタースポーツコーナーで出迎えてくれました。

まずは滑走面の保護

━━━ワックスを使った方が良いのは何となく分かるのですが、そもそもなぜ必要なのでしょうか。
小椋: 新品の板にワックスは塗られていないので、当店で購入したお客さんにワックスを同時に買うようにお勧めしています。ワックスは板の滑走性能を高めるだけが目的ではなく、滑走面を保護する意味もあります。板はワックスをかけないままでいると、滑走面に微細なケバだちが生まれて滑りにくくなってしまいます。板の寿命を伸ばすためにも、シーズン中はもちろん、シーズンの最後にきちんと塗ってから保管する必要があります。

今はスプレーが主流


━━━売り場を見ると、いろいろな種類があるようです。
小椋:大まかに分けると、板に噴射するだけのスプレーと、リップクリームのように出して使う固形、アイロンで溶かしながら塗る固形ワックスの3種類があります。スプレータイプのワックスは滑る前に塗るだけで済む点が人気で、当店のワックスの売り上げの6〜7割を占めるようになっています。
━━━なぜそんなにもスプレータイプが普及するようになっているのですか。
小椋:かつてはすぐに効果が落ちてしまうイメージがあったスプレーですが、私が使っている限りでは、最近のスプレーワックスは午前と午後に1回ずつ塗れば、特に問題はありません。効果が落ちてもすぐに塗れるのも、スプレーの良さですね。最初はよくわからない人でも、まずはスプレーを試してみるのが良いと思います。当店では新しい板を買ってくれた方には、スプレーをオススメしています。

初心者でも緩斜面で違いが分かる


━━━ワックスを塗ると、なぜ板が滑るようになるのでしょうか。
小椋:スキーやスノーボードの板は使っているうちに、滑走面に微細な凸凹が生まれてしまいます。そこにワックスを浸透させることで凹凸を埋め、滑走面が滑らかになります。また雪質によって一概には言えないのですが、多くのワックスに含まれるフッ素には撥水性能があり、滑走面と雪の摩擦でできる水分を飛ばしてより滑りやすくなるとも考えられています。
━━━ワックスを塗る、塗らないとでは、そんなにも違うものなのでしょうか。
小椋:具体的な数字を出して違いを示すのは難しいのですが、スノーボードならゲレンデの平地に近いような斜面でそのまま滑ってリフトまでいけるか、片足を外してゲレンデを蹴って進まなければいけないかの違いがあると思います。これだけでもゲレンデでの快適さはかなり違ってきますよ。

固形だけではないワックス


━━━ワックスというと、固形のものをアイロンで溶かしながら使っているイメージがありました。
小椋:確かに、かつては固形のワックスが主流ではありました。固形はアイロンで溶かしながら伸ばすだけでなく、表面の余分な部分をスクレーパーというヘラのような道具で削り、さらにブラッシングなどをする必要があり、仕上げるまでにかなり手間と時間がかかります。
スプレーは1本であらゆる雪質に対応した万能タイプがほとんどですが、固形ワックスでは「-12℃〜-3℃
」対応など、より雪山の状況に合ったワックスを選べます。ただ、趣味で休日にスノーボードを楽しむだけであれば、スプレーでも十分に満足できます。
固形は手間こそかかりますが、逆にワックスをかけている時の「これからスキー場に行く」というワクワク感を儀式的に楽しむ人も多いですね(笑)。

汚れ落としとのセットがオススメ


━━━ゼビオの売り場にも多くのワックスが多くあって目移りしてしまいますが、小椋さんが個人的にオススメするワックスを選んでほしいです。
小椋:ワックススプレーとワックスを伸ばすためのコルク、汚れ落としがセットになったXERES(セレス)「WAXING TUNE UP SET(ワクシング チューンナップ セット)」(店頭価格2,990円)があれば正直、他には必要ないと思っています。単品で販売している「ワックススプレー」だけでも十分なのですが、コルクの摩擦熱で伸ばす一手間を加えると、ムラなく塗れ、より滑走性能が高められます。またワックスをよく浸透させるためにも、汚れ落としのスプレーがあるとワックスの浸透をより高められます。さらにゼビオ店舗では新品の板と合わせて買えば2割引になるので、最初のワックスにはオススメです。

大手ワックスメーカー・ガリウムの「GENERAL F100」はセレスのスプレーより一回り小さく、ポケットに入れておいても邪魔にならないので、滑りが悪くなったらすぐにワックスをかけたい人におすすめです。

それでも固形にこだわる人へのオススメは?


━━━それでも固形にこだわりたい人にもオススメのワックスがあるようですね。
小椋:それでもスプレーに抵抗がある人には、リップクリームのように使う分だけ伸ばして使うガリウムの固形ワックス「GENERAL Joker」を勧めています。こちらはワックスよりも持続が長く、今季は売れ行きも好調です。

より長い効果をのぞむ人には、スタッフが専用の機械でワックスがけをする「メンテマイスター」をオススメしています。専用のワックス「メンテマイスターHIGH GRADE Hiフッ素」を買い、店舗のスタッフが専用の機械で仕上げます。約5回分の内容量があるので、余ったワックスを持ってきてくれれば、加工代1500円(税別)だけで対応できます。板を預けてまた来る必要もないので、これから本腰を入れてスノーボードを楽しみたい方にはぜひ、他のワックスとの違いを感じてほしいですね。

終わりに

玄人の間ではアイロンを使って塗る固形に絶大な信頼があったワックス。ただ、近年はスプレータイプの効果もかなり持続するようになり、固形から転向する人も増えているようです。滑る前にさっと噴きつけてから、快適な滑りを楽しんでみてください。

スーパースポーツゼビオのウインターサイト

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今回訪れたお店はこちら:スーパースポーツゼビオ ビバモールさいたま新都心

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